子羊たちの楽園

プロローグ

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ガラッ……

そうこうしているうちに、教官が部屋に入ってきた。
この学園で教官長を勤める、ナイル教官長だ。

ジュリオ:「っと……じゃあね、リュー、レオ」

リュー:「ああ」

俺たちは、おのおの席に戻った。
挨拶を済ませると、教官は手にしていた書類をめくり始める。

教官長:「え〜、では、今日は、以前実施した適性試験の結果をもとに、新しいグループ分けをする」

リュー:「げっ!? あれって、今日だったっけ?」

セバ学のクラスは、まず大きく上級、中級、初級の3つに分かれている。
それぞれのクラスの中で、能力(ここでは適性というが)により、さらに細かなグループに選別されるのだ。
適性試験は夏休みの前に実施され、今日からはその結果をもとに新たなグループを組んで、今後はそのグループごとに行動することが義務付けられる。
セバ学のモットーとして『支え合い、助け合う心』というのがあるのだが、何のことはない、要するに『全て集団責任。何かトラブルを起こしたら、みんなで罰を受けましょう』と言ってるだけのことだ。
グループ内の人間のミスは、そのグループ全員のミスとして扱われる。
そのため、このグループ分けは、非常に重要な意味を持ってくるのだ。

リュー:「ん〜……」

そうだな、レオあたりを例に考えてみよう。
三度の飯より刀剣が好きで、武器に精通しているレオ……

レ オ:『リューどの! ぜひ、この円月刀の試し切りがしたいでござるよ! うふふふのふ!』

………………
……大丈夫だろうか?
レオと同じく、エレナも心配だ。
エレナの場合は、黒魔法だが……

エレナ:『大丈夫……いざという時は……魔法で……教官を洗脳……ふふふ……』

いやいやいや、ちっとも大丈夫じゃないし!
しかし……あの美貌と巨乳は捨てがたい……

リュー:「同じグループになれたら、ちょっといいかも……」

あ……巨乳といえば、ティナもいるな。
ティナが仲間になるとしたら……

ティナ:『あはっ♪ とりあえず殴っちゃお! 細かい事は後で〜♪』

……ありえる。

リュー:「ジュリオもやばいな」

自他共に認める女好きは、ほとんど毎日女子ともめ事を起こしている。

ジュリオ:『適正試験なんか忘れて、今日は、乙女の乳房について語り合おうよ』

……絶対に言いそうだ。

リュー:「後は……」

クレアか。
うっかり屋さんのクレアの事だ、もしかすると……

クレア:『すみません〜、ついうっかり、皆さんに毒草を飲ませてしまいましたぁ』

死ぬから。

リュー:「むぅ……」

こうして考えると、今の初級クラスの中でも、要注意人物は、俺の周囲に固まってるなぁ。
個性っちゃぁ、個性なんだけど……
そんな皆の個性が、俺には、しっくり来るんだけどな。

教官長:「名前を呼ばれた者は、それぞれのグループごとに席を移動するように。では最初のグループ」

教官は、次々にグループ分けの名前を発表していく。
すでに2つのグループが結成され、残るはあと3グループだ。
まだ名前を呼ばれていない中に、俺を含めて、さっきの要注意人物たちが全員残っている。
まさか……

教官長:「え〜、では次のグループ。まず、リュー・バーナード」

リュー:「は、はいっ」

いよいよ俺の番だ。
果たしてどいつと一緒に組むことになるんだ?

教官長:「次に、レオポルド・ルッツ」

レ オ:「はいでござる」

おお?
レオと一緒だ。
名前を呼ばれたレオは、席を立ち、俺の方にやってきた。
グループ分けは、同時に席替えでもある。
同じグループの仲間同士、座席も固まるのだ。
俺の隣の席に、レオが座る。

リュー:「よろしくな、レオ」

レ オ:「よろしくでござる、リューどの」

教官長:「エレナ・ジュエル」

エレナ:「はい」

おおっ、エレナも一緒か。

エレナ:「……よろしくお願いしますわ」

リュー:「ああ、よろしく、エレナ」

レ オ:「よろしくでござる」

教官長:「同じく、ティナ・ジュエル」

ティナ:「はい」

む? ティナも仲間か。
偶然にしちゃ、出来すぎのような……

ティナ:「同じグループになったね、レオ」

レ オ:「そうでござるなぁ……」

挨拶を返しながらも、レオの目は、やっぱりティナの剣を見ていた。

教官長:「ジュリオ・ファルコーニ」

ジュリオ:「は〜い」

リュー:「うえっ!?」

おいおい、ジュリオまで一緒かよ……

ジュリオ:「よ、よろしく……ハニー」

ジュリオはガチガチに緊張しながら、憧れのエレナの隣に座った。

エレナ:「……こちらこそよろしく……ジュリオさん」

ジュリオ:「うひゃあっ!? ジュリオさんだってぇっ!?」

リュー:「はいはい……」

教官長:「クレア・クリステル」

クレア:「はい」

リュー:「ええっ!?」

クレアまで一緒なのか?
これって、いつもの面子じゃないか……

クレア:「みなさん、よろしくおねがいしま〜す」

教官長:「以上6名は、同じグループとして今後行動を共にするように」

リュー:「ううっ……ホントかよ」

本当に適性試験の結果なのか?
ちょっとできすぎなんじゃないか?
残りの2グループのメンバーが発表されていたが、すでに俺の耳には入っていなかった。
勢ぞろいした、いつもの面々。
ある意味、クラスの要注意人物ばかり……
これはこれで、嬉しいんだけど……
でも……このグループで……大丈夫なのか?